長崎市南山手地区町並み保存センタートップページ
更新日:2022/04/09
全国推定21人の読者の皆様、お待たせしました。あまりの怖さに夜トイレに行けなくなった、子どもの夜泣きがとまらない等の苦情が、全く寄せられていない「南山手怪奇シリーズ3部作」、待望の第2作は「魔女の館」です。十字架を握りしめ念仏を唱えながら、迫りくる恐怖譚をお楽しみください。
「私がまだ子どもだった頃、うえの通りに魔女が住んでいました。魔女は蝋燭のように白い顔と枯れ枝のような細い手をマントからのぞかせ、古びた洋館に黒猫と暮らしていました。」 まるでホラー小説の冒頭みたいですが、近所の子どもたちが恐れていた魔女の正体は、フランス人2世のジャンヌ・マデーラさんでした。居留地時代に南山手で生まれ育ったマデーラさん、両親が亡くなり一人になっても、門柱に「真寺」の表札を掲げ日本人として暮らしていたのです。戦時中の厳しかった環境のせいか笑顔はほとんどありませんでしたが、近所の子どもたちの魔女ごっこに飽きもせず付き合ってくれる心優しきおばあさんでした。
やがて真寺さんは亡くなり、真寺邸はグラバー園に移築されることなく、昭和59年に取り壊されてしまいました。本当に怖いのは歳月かもしれません。
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