第31話 「南山手・芸能人シリーズ④ ―人を身なりで判断してはいけない―」

更新日:2024/06/29

 暑さにも負けず好評連載中の芸能人シリーズ、今回は主役級の男前俳優が多数登場します。ご婦人の皆様、化粧を塗りなおし和服に着替えてお読みください。

 

 「中谷美紀さんを付き人と間違えちまった事件」では反省する点が多々ありました。まず芸能人の顔がわからない点は置いといて(そこが元凶だ、と突っ込んではいけません。)よくよく考えたら中谷さんは夏場に白のコートを着ていました。「よし分かった、俳優は衣装や身なりで見分ければいい。」と安直な攻略法を発見してしまいました。察しのいい読者の皆様、この思い込みで今回も困った展開が待ち受けています。

 

 「中谷事件」の数年後、真昼間に自宅横の坂道を上っていると、またまたカメラやマイクが並び立ち、多くの人でごった返しています。そうです、ドラマの撮影です。坂道を上る途中にスタッフの方に呼び止められましたが、家主とわかるとどうぞお通りくださいとなりました。(前回と全く同じ展開ですな。)「二の轍を踏まない」が座右の銘なので、今回は探しました、身ぎれいな俳優を。ところが、スタッフはたくさんいるのに肝心の俳優が見当たりません。「昼時だし何か食べに行ったのか、残念。」と諦めて家に入ろうとしたら、家の下の小道に小汚い作業服の坊主頭が数人座り込んでいます。よほど重労働を強いられたのか全員息を切らしていました。スタッフの中でも下っ端の若手作業員に違いありません。分別ある大人のおじ様として労いの言葉をかけてあげました。

 

「撮影?君たちも大変だね。」

「はい。ご迷惑おかけしてます。」

「まだ若いしきついだろうけど頑張ってね。」

「ありがとうございます。」 
 

 小汚いけど礼儀正しい作業員のことを家内と娘に話しましたが、今回は無反応。まだ放映予定も出ていないドラマだったので、流石の芸能通の目も届かなかったようです。発覚したのは10月でした。長崎ロケがあったドラマが放送されると芸能通たちはテレビにかじりついています。ドラマは無実の罪で捕まった若者たちが刑務所を脱走し、途中で一緒になった小さな女の子と、九州から東京を目指して逃亡する(結構無茶な設定です。)ロードムービー的ドラマ「ランナウェイ」(2011年放送)です。若手の人気男優が囚人役で勢揃いと話題になっていました。何気に観ていると、な、何と坊主頭の下っ端作業員たちがうちの横の坂道を走っているではありませんか。皆さん、もうお気づきですね。小汚い身なりの若者たちはドラマの主人公たちでした。市原隼人、塚本高史、上田竜也、菅田将暉、今を時めく男優陣です。(未だに顔と名前が一致しませんが。)

 

 またしても、やってしまいました。あきれ果てる家人をよそに新しい座右の銘が生まれました。「人を身なりで判断してはいけない。」皆さんも重々お気をつけください。(つづく)

 

              「ランナウェイ〜愛する君のために」©TBS

 

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