第10話「ロシア・シリーズ-異境の地で果てること(前編)-」

更新日:2022/10/01

 愛と感動のロシア・シリーズも遂に最終話となりました。タイトルを見て、さてはKGBに拉致されて極寒のシベリア収容所から最後の更新かとほくそ笑んでいる方、残念でした。シリーズの最終の話は何と墓地の話です。おっとやっぱり遺稿だなと、早とちりせず最後までお読みください。

 

 先日、ソ連大統領だったミハイル・ゴルバチョフ氏が亡くなりました。貧しい農夫から一国のトップにまで上り詰めた平民宰相のゴルバチョフ、現ロシア大統領とは正反対の平和主義者で、核軍縮に務め東西冷戦を終結に導きました。この功績でノーベル平和賞も受賞しています。気さくで温厚な人柄から「ゴルビー」の愛称で親しまれ、アメリカのレーガン大統領をはじめ、各国元首とも良好な関係を築きました。また、親日家でも知られ、再々日本を訪れています。引退後に「徹子の部屋」や「SMAP×SMAP」にも出演したのでテレビで見た方も多いでしょう。

(蛇足ですが、日本のカプコムが作った格闘ゲームの名作「ストリートファイターⅡ」で、ロシア人レスラー・ザンギエフを操作して優勝すると(難易度激高)、ゴルビーとおぼしき人物が「レスリングをとおして世界交流に貢献してくれた。」と祝福したうえに、コサックダンスを披露してくれる隠しエンディングがありました。ゲーム業界にも愛される人物でした。)

 

 実はゴルバチョフ、1991年の来日の際に急遽予定を変更して長崎に足を運んでいます。現役のソ連大統領の突然の訪問に長崎中大騒ぎとなりました。当時30代になったばかりの私も、物々しい警備と街頭の人垣を掻き分けて見に行ったものです。しかし、一体何をしに来たのでしょう。(勿論、私に会いに来たのではありません。)目的の一つは核軍縮と平和推進のために被爆地への追悼、もう一つの目的は何と墓参りだったのです。しかも教会ではなく「悟真寺」というお寺の墓地。ロシア人の大統領は仏教徒だったのか?何が何だかよくわからない話になってきました。

 

 さて、話が佳境に達したところで、毎度時間となりました。続きは次回「異境の地で果てること(後編)」で。それでは皆様、ごきげんよう。

(連続テレビ小説か!と罵ってはいけません。)

 

急遽長崎を訪れたゴルバチョフ大統領(KTNテレビ長崎)

第9話はこちら 第11話はこちら
 一覧に戻る