第6話「オランダ坂の謎」

更新日:2022/06/03

 好評のうちに終了した「南山手怪奇シリーズ」、全国から続編を望む声が多数(2件ほど)寄せられましたが、今回は「オランダ坂の謎」です。教養を高める話ですのでメモを取りながらご覧ください。

 

 南山手・東山手の居留地を歩くと「オランダ坂」や「オランダ屋敷」などオランダがついたものが目につきます。ところが、坂も屋敷もオランダの建築様式とは何の関係もありません。なぜ、オランダになったのでしょう。

 実は、鎖国と大きな関係があります。江戸時代、キリスト教の流布を恐れて国を閉ざした中、国交を許されたのは非キリスト教国であったオランダと中国だけでした。出島を窓口にして日本を訪れるオランダ人を、当時の長崎の人々は親しみを込めて「オランダさん」と呼んでいたのです。

 開国後、外国人居留地にはイギリスをはじめ様々な国の人が入ってきましたが、平たい顔族の日本人には彫が深い顔族の西洋人は同じように見えていたのでしょう。西洋人の呼び名は総じて「オランダさん」のままでした。長崎では「外国=オランダ」だったのです。そこで、外国人が往来する石畳の坂道は「オランダ坂」、イギリス人が建てた家も「オランダ屋敷」と呼ばれるようになったのでした。

 実にためになる話でしたね。会長は博学だと称賛のお便りが山ほど届きそうです。

 

 ちなみにこの話をブライアン・バークガフニさん(長崎総合科学大学名誉教授でグラバー園名誉園長)に教えてもらったとは、口が裂けても言えません。

 

活水大学下の「オランダ坂」

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