第12話「南山手の素敵なクリスマス」

更新日:2022/12/03

 気がつけばいつしか年の瀬です。12月のイベントと言えば、やはりクリスマス。今月は南山手ならではの素敵なクリスマスの話です。キャンドルに火を灯し、ビング・クロスビーを聴きながらお読みください。

 

 クリスマスの主役であるサンタクロース、あの体形でそりに乗って空を飛ぶは、煙突から屋内に侵入するはと、なかなかの手練れです。ところが国内の一般的な住宅には煙突がついていません。これには天下無双のサンタクロースもお手上げです。こうやって日本の子どもたちは不憫な一夜を過ごすか、悲しいかな夢から覚めてプレゼントの現実を知るはめになるのでした。

 ところが、南山手の洋館の多くには煙突と暖炉があります。我が家にも2基の煙突と6個の暖炉がありました。1階から2階に通っている煙突の前後の部屋に、それぞれ暖炉があり、一つの煙突で最大4部屋を暖めることができます。当時としては画期的なセントラルヒーティングですね。もちろん、私が子どもの頃には煙突としての機能は失われ、暖炉とマントルピース(暖炉を囲むフレーム)だけが当時の面影を残すのみとなっていました。しかし、この煙突と暖炉のおかげで、我が一族は総じて結構な年齢までサンタクロースを信じていた事は秘密です。

 

 さて、もう一つ南山手のクリスマスと言えば、外せないのは大浦天主堂です。世界遺産になる以前から、この時期にはクリスマスツリーのイルミネーションが燦然と輝き、素敵なデートスポットへと変貌していました。マリア園が修道院だった頃は、24時のミサを目指して園の子どもたちが坂道を駆け下りてくる風景も風情がありました。

 ちなみに私も若かりし頃、毎年のようにクリスマスのデートに使っていました。ある時、大浦天主堂の下の教会に吸い込まれるように入って行く信徒につられて、中に入ってみたら、さあ大変。扉を閉められ、司祭のありがたいお話を1時間半聞かされる羽目となりました。薔薇色のイブを棒に振ったのは言うまでもありません。

 ウクライナの戦火は消えず、コロナも再び勢いを増していますが、穏やかな年の瀬であることを祈っています。皆さま、よいお年をお迎えください。

 

  「サンタクロースが出てきそうな暖炉」

 

  「イルミネーションで装飾された大浦天主堂」

 

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